エフピーエムNews 第107号 ご存じですか? 被災してローンが払えなくなった時の「救済制度」 〜自然災害債務整理ガイドライン〜
いつもエフピーエムNewsをご覧いただきありがとうございます。
まずはじめに、この夏に発生した各地の自然災害により被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
9月1日は「防災の日」ですね。皆さんのご家庭では、災害への備えは万全でしょうか?
6月号では「火災保険・地震保険の見直し」についてご紹介しました。今月号はその続きとして、「もし被災して住宅ローンが払えなくなったらどうする?」というテーマを取り上げます。実はあまり知られていない、被災者のための救済制度「自然災害債務整理ガイドライン(通称:被災ローン減免制度)」についてお話しします。
■ 被災した時、住宅ローンはどうなる?
災害で自宅が損壊しても、住宅ローンはそのまま残ります。これがよく言われる「二重ローン問題」です。
もちろん、火災保険(水災補償あり)に十分に加入していれば、受け取った保険金でローンを繰り上げ返済したり、再建資金に充てたりできる場合もあります。この場合は大きな問題にはなりにくいのですが、注意したいのは地震被害のケースです。
実は地震保険の保険金額は、法律上、火災保険の30〜50%が上限と決められています(建物は最大5,000万円、家財は最大1,000万円まで)。つまり地震・噴火・津波による被害では、保険金だけではローン残債と再建費用の両方をカバーしきれないケースが多いのです。
東日本大震災、熊本地震、能登半島地震、各地の豪雨災害——過去にも同じような場面で、多くのご家庭がこの二重ローン問題に直面してきました。
従来、被災者が返済できなくなった場合の選択肢は、事実上「自己破産」か「返済を続ける」の二択でした。しかし自己破産は信用情報に長期間キズがつき、その後の生活再建の大きな足かせになります。かといって、収入も家も失った中で毎月の返済を続けるのは現実的ではありません。
⚠ 住宅ローン返済中に被災したら、あなたはどうしますか?
「自己破産するか、なんとか払い続けるか」の二択で悩まれる方が多いのですが、実はもう一つ、被災者のために用意された道があるのをご存じでしたか?
■ 知られていない「救済制度」の存在
正式名称は「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」、通称「被災ローン減免制度」と呼ばれる仕組みです。全国銀行協会や弁護士会などが策定・運用している、被災者救済のための制度です。
この制度の主なポイント
- ✅ 対象は、2015年9月2日以降に災害救助法が適用された自然災害の被災者(東日本大震災の被災者も遡及的に対象)
- ✅ 対象者は個人および個人事業主(法人は対象外)
- ✅ 対象債務は住宅ローン・自動車ローン・事業性ローンなど幅広く
- ✅ 弁護士等の「登録支援専門家」が国の補助により無料で手続きを支援
- ✅ 自己破産と違い、信用情報に「事故情報」として登録されない
■ ある家族の話 〜救済制度で救われた中村家〜
【中村家のケース/制度活用の想定シナリオ】
※実在の事例ではなく、制度の使い方をイメージしていただくための架空のケースです。
40代の中村さんご夫婦は、住宅ローン3,000万円を組んで新築の一戸建てを購入しました。ローン残債はまだ2,500万円。ところが、ある年の大規模水害で自宅が半壊し、火災保険(水災補償あり)で1,000万円を受領したものの、修繕費・仮住まい費用・家財の買い直しで貯金は底をつきました。
収入は変わらないまま、月々のローン返済に加え、新たな支出が重くのしかかります。「自己破産しかないのか」——そう思ってFPに相談したところ、「自然災害債務整理ガイドライン」という制度の存在を初めて知ります。
登録支援専門家(弁護士)の無料サポートで手続きを進めた結果、手元に500万円の現預金を残しつつ、ローンの大部分の免除を受けることに成功。信用情報に「事故情報」として記録もされず、その後の生活再建もスムーズに進めることができました——。
「知らなかったら、確実に自己破産していた」——制度を知っているか知らないかで、被災後の人生は大きく変わります。
■ この制度の「3つの大きなメリット」
| 項目 | 通常の自己破産 | 自然災害債務整理ガイドライン |
|---|---|---|
| 弁護士費用 | 20〜50万円 | 無料(国の補助) |
| 手元に残せる現預金 | 原則99万円まで | 最大500万円 |
| 信用情報への影響 | 事故情報登録(5〜10年) | 登録されない |
| 職業制限 | 一部職業に就けなくなる | 制限なし |
| その他残せる財産 | 原則、生活必需品のみ | 家財地震保険金250万円・被災者生活再建支援金・災害弔慰金・義援金 等 |
特に大きなポイントは、「信用情報にキズがつかない」ということです。被災後に新しい住まいを借りたり、生活を立て直すために融資を受けたりする際、信用情報のキズは大きな壁になります。この制度は、被災された方がもう一度スタートを切りやすいように設計されているのです。
■ 手続きの流れと注意点
手続きの流れ(4ステップ)
- ✅ ステップ1:最寄りの金融機関(借入先)または弁護士会・法テラスに相談(費用無料)
- ✅ ステップ2:「登録支援専門家」(弁護士等)が選任され、無料で手続きを支援
- ✅ ステップ3:返済計画案を作成し、債権者(銀行等)と交渉
- ✅ ステップ4:簡易裁判所による特定調停を経て、減免が確定
利用時の注意点
・対象は「災害救助法」が適用された災害の被災者に限定
・減免対象は「災害発生日以前に発生した債務」のみ
・手続き開始後に他の債務整理手続きへの切り替えも可能
・支援対象と認められるかは事前審査あり
・制度活用には登録支援専門家(弁護士等)のサポートが必須
■ 「まさかの備え」の相談窓口として、エフピーエムをご活用ください
この制度、実はあまり知られていません。「知らなかったから自己破産してしまった」というケースが後を絶たないのが現実です。制度の存在を知っているだけで、被災後の選択肢は大きく広がります。
ただ、この制度の手続き自体は弁護士・司法書士などの「登録支援専門家」が行う業務です。エフピーエムでは、「うちの場合、この制度が使えるかどうか」の初期のご相談から、信頼できる地元の弁護士さんなど専門家のご紹介まで対応しています。「どこに相談したらいいかわからない」というときの最初の窓口として、ぜひご活用ください。
もちろん、被災する前の今のうちに「こういう制度がある」と知っておくだけでも、いざという時の判断が変わります。火災保険・地震保険とセットで、頭の片隅に置いておいていただけたらと思います。
こんなご相談、よくお受けしています
・「災害でローン返済が厳しい。自己破産以外の選択肢はある?」
・「自然災害債務整理ガイドライン、うちも対象になる?」
・「火災保険の保険金だけでは足りない。ほかに使える制度は?」
・「被災後、まず何から動けばいいかわからない」
・「まだ災害には遭っていないが、備えとして知っておきたい」
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災害は、いつどこで誰の身に起きてもおかしくない時代です。「知っておくこと」そのものが、ご家族と暮らしを守る備えになります。この記事が、いざという時の選択肢を広げるきっかけになれば嬉しいです。
今月もお読みいただきありがとうございました。