エフピーエムNews 第103号 母の日に考える 親の保険と相続

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5月の第2日曜日は「母の日」ですね。今年(2026年)は5月10日です。お花やプレゼントを贈る方も多いと思いますが、今回はちょっと違う「親への贈り物」について考えてみたいと思います。
それは、「親の保険と相続について、一緒に話し合うこと」です。
「縁起でもない」「まだ早い」——そう思って先延ばしにしているご家庭は多いのではないでしょうか。でも実は、元気なうちに話しておくことが、家族全員を守ることにつながります。今月号では、相続をめぐって実際によく起きている「もめごと」のパターンと、今からできる備えをご紹介します。
■ 「相続でもめる」のは、ドラマの中だけじゃない
「うちは大した財産もないし、家族仲もいいから大丈夫」——そう思っているご家庭ほど、実は注意が必要です。
令和6年の司法統計によると、調停や審判など裁判所で争いになった相続案件のうち、全体の約4分の3以上(約78%)は遺産総額が5,000万円以下のごく普通の家庭です。(令和6年司法統計年報 家事編 第52表より)
財産の多さよりも、「どう分けるか」の取り決めがなかったことが原因になるケースが圧倒的に多いのです。そして一度もめてしまうと、解決まで数年かかることもあり、兄弟・姉妹の関係が修復できないほど壊れてしまうことも珍しくありません。
■ よくある「もめごと」のパターン 〜ある家族の話〜
【佐藤家のケース】三条市在住・3人兄弟のある家族
長男(48歳)・次男(45歳)・長女(42歳)の3人兄弟。父はすでに他界し、母が一人暮らし。3人とも燕三条エリアに在住で、日ごろの仲はよかった。
長男の佐藤さんは10年前、家を建てるときに父親から500万円の援助を受けました。当時、次男と長女もそのことは知っていましたが「長男だから」「結婚が早かったから」と特に気にしていませんでした。
ところが先日、母が入院。「もしものときのために」と3人で相続の話をしたところ——
次男が「そういえば、お兄ちゃんが家を建てたとき500万円もらってたよね?あれは相続分の先取りじゃないの?」と言い出しました。
長男は「あれはもう10年前の話。父が生きているうちにもらったんだから、相続とは別の話だ」と反論。長女も「私は何ももらっていない」と言い始め、仲のよかった3人の間に、一気に険悪なムードが漂いました——。
なぜこうなる? 「特別受益」という考え方
じつはこのケース、法律上は「特別受益(とくべつじゅえき)」という問題が絡んでいます。(民法第903条)
特別受益とは、特定の相続人が被相続人(亡くなった方)から生前に受け取った特別な利益のこと。住宅購入の援助・学費・結婚資金などが代表例です。
大切なのは、特別受益にあたる生前贈与には、時効のような期間制限はないという点です。何年・何十年前の贈与であっても対象となる場合があり、法的な解釈が割れやすいのです。これが「昔の話」として忘れていた贈与が、相続の場で突然蒸し返される原因になります。
特別受益として認められると、その分だけ相続分が少なくなる「持ち戻し」の計算が行われます。
| 特別受益になりやすい例 | 注意点 |
|---|---|
| 住宅購入の援助・頭金 | 金額が大きいほど影響が出やすい |
| 大学・大学院などの学費 | 兄弟間で差がある場合にもめやすい |
| 結婚資金・挙式費用の援助 | 「お祝い」との線引きが曖昧になりがち |
| 事業の開業資金 | 自営業世帯では特に注意が必要 |
「昔の話」が相続で蒸し返される
贈与を受けた側は「終わった話」と思っていても、受け取っていない兄弟姉妹には長年の「わだかまり」が残っていることがあります。相続はそのわだかまりが一気に表面化するタイミングになりやすいのです。
佐藤家が「事前にやっておけばよかったこと」
- ✅ 援助したときに「持ち戻し免除」の意思表示を遺言書に明記しておく(ただし遺留分は免除できないため、専門家への相談が必要です)
- ✅ 贈与を受けた事実と金額を家族全員で共有しておく
- ✅ 贈与契約書を作成し、銀行振込で記録を残しておく
- ✅ 親が元気なうちに遺言書を作成し、分け方の意思を明確にしておく
■ 「まだ早い」は禁物 親が元気なうちにできること
相続の問題が深刻になるのは、多くの場合「突然のこと」が起きてからです。入院・認知症・急逝——そうなってからでは、本人の意思を確認できなくなります。
今、親御さんが元気で話せるうちにできることを整理しました。
- ✅ 財産の一覧を作る(不動産・預貯金・保険・負債をリストアップ)
- ✅ 遺言書を書いてもらう(自筆証書遺言 or 公正証書遺言)
- ✅ 過去の生前贈与を整理する(誰に、いくら渡したかを記録)
- ✅ 加入している保険を確認する(受取人の設定が古くなっていないか)
- ✅ 相続税の概算を把握する(資産の規模によって対策が変わる)
■ 生命保険は「相続対策」にもなる
あまり知られていないのですが、生命保険の死亡保険金には「非課税枠」があります。(相続税法第12条)法定相続人1人につき500万円が非課税になるため、たとえば相続人が3人なら1,500万円まで保険金が相続税の対象外になります。
また、生命保険は受取人を指定できるため、「誰に渡したいか」を明確にしておける点でも有効です。遺言書がなくても、保険金は指定した受取人に直接支払われます(遺産分割の対象外)。
保険の受取人、最後に確認したのはいつですか?
離婚・再婚・子どもの誕生など、家族構成が変わっても受取人の変更を忘れているケースが非常に多くあります。受取人が古いままになっていると、意図しない形で保険金が支払われることも。親御さんの保険証券を一度確認してみましょう。
■ 母の日のひとこと 「保険証券、見せてもらえる?」
「相続の話をしよう」と切り出すのは、なかなか難しいものです。そんなときは、「保険の確認」を入口にするのがおすすめです。
「お母さん、加入している保険って把握してる? 一緒に確認してみようか」——そんな一言が、家族全員を守る第一歩になります。
エフピーエムでは、親御さんの保険の確認・見直しから、相続に向けた資産整理のご相談まで、まとめてお受けしています。もちろん相談料は無料です。「何から始めればいいかわからない」という方こそ、お気軽にお声がけください。
こんなご相談、よくお受けしています
・「子どもに住宅資金を渡したが、相続のときに問題になる?」
・「兄弟で援助の額が違う。どう整理しておけばいい?」
・「親の保険証券を整理したいが、何を確認すればいい?」
・「遺言書を作ってほしいが、何から始めればいい?」
五月晴れの気持ちよい季節です。母の日をきっかけに、ぜひご家族でこんな話題を出してみてください。
今月もお読みいただきありがとうございました。
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